お彼岸の季節になると、突然現れるヒガンバナ。その美しさからスマートフォンでも簡単に撮影できる花です。この記事では、ヒガンバナの特徴や咲く時期、群生の様子を探求し、さらに魅力的な写真を撮るコツをお伝えします。また名所とともに、花言葉にも触れてみましょう。ヒガンバナの魅力を存分に味わいながら、心に残る瞬間をカメラで切り取りませんか?
ヒガンバナの見ごろ
ヒガンバナは北海道以外でも全国各地で見られる名所ですが、名所だけでなく群生地でも美しい一瞬を捉えることができます。旬の時期を逃さず、ヒガンバナの種類と撮影テクニックについて考えてみましょう。
さらに、私の地元である愛知の名所も紹介します。ヒガンバナの魅力を広範に堪能しながら、すてきな写真を残しませんか?
お彼岸だけじゃない花の時期
ヒガンバナは別名曼殊沙華(まんじゅしゃげ)、リコリスラジアータと呼ばれ特徴は、花が終わってから葉っぱが出ることで「葉見ず花見ず」といわれています。
通常、一般的なヒガンバナは9月のお彼岸に咲くことが多いです。これは、種を作らずに球根で増える3倍体という特性を持っています。
しかし、8月の中旬ごろから開花し始めるヒガンバナも存在します。これは中国から導入されたタネによるコヒガンバナ(2倍体)と呼ばれる種類です。外見は通常のヒガンバナとほとんど区別がつかないので咲く時期と花後のタネを調べて特定します。
ヒガンバナは時には7月下旬にも開花することがありますが、こちらでは、2023年の今年は8月18日に初めて見られました。
この花には白色の種類も存在しますが、ショウキズイセン(黄色)とコヒガンバナの交雑種によって、真っ白からピンクの色合いまでさまざまなバリエーションがあります。かつては園芸用として育てられていましたが、今では自然界でも増加しているようです。
リコリスと呼ばれる花の種類
リコリスと呼ばれる花は、
キツネノカミソリ(リコリスサンギネア)
ナツズイセン(リコリススクアミゲラ)
ショウキズイセン(リコリスオーレア)
タヌキノカミソリ(リコリスインカルナタ)
咲く時期や種類もそうとう多くなっています。
映える撮影法
ヒガンバナは、緑の背景に咲くことが多く、その鮮やかな赤色は緑との組み合わせが美しいので、写真撮影があまり慣れていない人でも、見栄えの良い写真を撮ることができます。
主題を選ぶ
ヒガンバナを撮影する際には、2つの方法があります。まず、広角レンズを使って群生の風景全体を捉える方法です。また、アップで花そのものをクローズアップする方法もあります。
アップで撮る場合でも、花をメインにするか、シベ(花から飛び出た突起)を強調するかで、写真の表現が異なるものです。
マクロレンズを使うと、花のシベをアップで撮影しやすくなります。この場合、手前のシベにピントを合わせることで、詳細がくっきりと映り、見やすい写真が得られます。
花とチョウの組み合わせ
ヒガンバナには、アゲハチョウがしばしば訪れます。蜜を吸って夢中になっている瞬間が素晴らしいチャンスですが、彼らのハネは小刻みに動いていることが多いので、シャッタースピードを早めに設定して撮影すると良いでしょう。
マクロレンズでアップの撮影をするには、非常に近づく必要があります。しかし、アゲハチョウなどの速い動きを捉える際には、望遠レンズを使用して手持ちで連写撮影することも一つの方法です。また、三脚を使うこともオススメです。
群生を撮る
花が混雑した場所で、意図的に望遠レンズを活用して撮影すると、被写体が圧縮されたような印象を与える写真を撮ることができます。雰囲気を際立たせるのに効果的です。
影を利用
ヒガンバナは他の花にはない独自の形を持っています。そのため、花の影を撮影することも楽しいアイデアです。影を通してもその美しさを引き立てることができるので、新たな視点からの撮影にチャレンジしてみると良いでしょう。
水滴
シベについた水滴は、素晴らしい撮影チャンスです。水滴の輝きを引き立てるため、少しアンダー目の露出を試してみましょう。ただし、風が吹くと水滴はすぐに消えてしまいます。そのため、雨が上がってできるだけ早めに撮影することをオススメします。
ボケを有効に使う
花の多い場所で撮影する際には、ボケ(前景のぼかし)を上手に活用しましょう。特に、緑と赤の組み合わせは相性が良く、美しい映像を作り出します。ヒガンバナの鮮やかな赤と周囲の緑を調和させることで、写真が一層引き立ちます。
モノクロ
モノクロで撮影する際には、特にコントラストに気を付ける必要があります。花の鮮やかな色が失われてしまう分、明暗の差を強調することで、効果的な写真に仕上げることができます。
ハイキー
花の性質からシックな表現が似合うことが多いのですが、周りが明るく玉ボケなどが入る場合は、ハイキーな表現もすてきに映えます、ただし玉ボケ以外は白飛びのないように注意しましょう。
上から撮る
ヒガンバナを真上から撮影すると、花が変わった形をしているような印象を与えることがあります。花が円形に配置されたような美しいパターンや、放射状に伸びる花茎が独特の模様を形成しています。この視点から撮ることで、ヒガンバナの特異な魅力を引き立ててみましょう。
一歩進んだ撮影の工夫
初心者でも気軽に撮影できる花と書きましたが、堤防や巾着田のような場所で花が広がるじゅうたんのような群生を撮る際には、ポイントを絞ってシーンを選んで切り取ることが重要です。全体を捉えるのではなく、何を撮りたいかはっきりさせないと、主題がぼやけたスナップ写真のようになってしまうことがあります。
広角レンズを使用しても、数キロ先までの全てを撮りきることは難しいので、どの部分を切り取るかが非常に重要な要素です。どの範囲を選ぶかによって、写真の意味や印象が大きく変わってくるのです。
コツとしては、ある程度広めの画角から不要と思えるものを引き算すること。思ったよりも不要なものって多いものです。
花の特徴的な形状は、シルエットとして撮影することで強調できます。また、昼間であっても露出を調整したり、レタッチを施すことで夜のような雰囲気を演出もできます。
落ち葉やバッタなどを写真に取り入れることで、秋の雰囲気をより鮮明に演出できます。これらの要素を組み合わせることで、季節感を写真から感じ取ることができます。花だけでなく、周囲の要素もうまく取り入れて、写真のストーリー性を高めてみましょう。
明るさと暗さのバランスを考えて、光がスポットライトのように当たる箇所を意識して撮影すると、魅力的な写真が得られます。ただし、露出が過度にならないように気をつけましょう。
背景を黒に近いか暗めに設定すると、赤い色が非常に際立ちます。この効果を得るためには、露出をわずかにアンダー目に調整することがポイントです。また、写真をレタッチする際には、ハイライトを少しだけ明るくして調整することで、バランスを取りながら赤い色を引き立てることができます。
群生地に足を踏み入れる際は、必ず足元を確認してください。ヒガンバナの茎は非常に弱いため、軽く踏んでしまうだけでも折れてしまうことがあります。また、後から訪れる人々のためにも配慮しましょう。大切な花や環境を守るために、慎重に行動することが大切です。
短い花の寿命
私の住む近所では、堤防の下側では8月からコヒガンバナが咲き、9月になると上側でヒガンバナが開花します。このように1カ月で場所が変わるため、異なる景色を楽しみながら撮影できます。
コヒガンバナは、アルビフローラと呼ばれる白やピンクが混じった花も咲き、カラフルな色彩が楽しめます。
9月に咲くヒガンバナは、赤一色が多くじゅうたんのような群生が見事にみえます。
9月の後半になると、黄色のショウキズイセンも咲きはじめ、それぞれ時期が違ってるので、旬にあわせて撮ってみましょう。
ヒガンバナの花は、咲き始めからピークまで約1週間ほどしか持ちません。群生しているときの美しさはピークですが、花が次々と枯れ始めるのも一斉です。そのため、撮影のタイミングを逃してしまったら、群生地の全景を撮ることを諦めて、個々の花をアップで撮影するなど、撮影のアプローチを切り替えることが重要です。
愛知のヒガンバナの名所
ヒガンバナが載っていないページのリンクも入っています。
半田市 矢勝川
「ごんぎつね」の作者、新美南吉生誕の地、矢勝川堤1.5キロの間に300万本のヒガンバナが絨毯のように咲く愛知一番のスポット。
大口町 五条川
桜の名所ですが、秋には堤防の両側にヒガンバナが群生して絨毯のように。川の両側に咲くので遊歩道から川に映った花も撮れます。堀尾跡公園駐車場に停めて散策が可能。
豊田市 逢妻女川
地元の育成会の方が植えた200万本の花が圧巻。
津島市 天王川公園
公園の池は藤で有名ですが、周りの土手は絨毯のようにヒガンバナが咲きます。
高浜市 稗田川
稗田川の「小橋」「法響橋」「中学橋」「吉野橋」近辺でみられます。
名古屋市 名城公園
数は多くないですが、あちこちでみられ風車とのコラボも面白いです。
名古屋市 庄内緑地公園
ピクニック広場、ふれあい橋など。赤、黄、白と三色揃ってみられる時もあります。
犬山市 桃太郎公園
飛騨木曽川国定公園の中にある公園で、紅葉のころも賑わうところです。
色違いの花言葉
色によって花言葉も違ってきます。
色 | 花言葉 |
赤色 | 情熱 悲しき思いで 転生 |
白色 | また会う日まで |
黄色 | 元気な心 深い思いやりの心 |
ピンク色 | 快い楽しさ 悲しい思い出 |
オレンジ色 | 妖艶 |
ヒガンバナの花言葉には、明るい意味合いだけでなく、お墓の周りに咲くことや毒を持つことから、暗いイメージを持つものもあります。ただし、もともとはサンスクリット語で「天界の花」という意味を持ち、仏教と関連があるため、他の花とは異なる印象を受けることが多いようです。そのため、ヒガンバナには独特の背景やイメージが存在することがわかります。
青色のヒガンバナ
画像は花の色を変えてレタッチしたものですが、青色のヒガンバナは実際には有りません、遺伝子組み換えで青いバラや青いカーネーションが作られているので、近い将来「鬼滅の刃」の作品に出てくるような青いヒガンバナが見られるようになるかもしれませんね。
ヒガンバナが咲かない年
2024年、今年は記録的な猛暑によりヒガンバナの開花が遅れています。近くの堤防でも例年9月20日頃には赤く染まっているはずですが、まばらに見られるだけ。この先気温が下がって土の温度も下がってくると月末にかけて咲いてくるようですが、いつもの群生は見られないかもしれません。
温暖化なの影響は、今年だけにとどまらず続くようだと、ヒガンバナの開花も徐々に変わって来るかも知れません。
まとめ
8月から9月にかけて咲くヒガンバナについて述べましたが、その鮮やかな色彩で群生し、日本の秋の風景を飾る様子は、秋の風物詩として魅力的です。
一方で、この花は球根に毒を持つことやお墓の周辺で見かけることから、幽霊花とも称され、やや不気味な印象を与えることもあります。
実際には、過去には土葬が行われており、モグラなどによる荒らしを防ぐために毒のあるヒガンバナを植える習慣が始まりました。また、田んぼの畔や堤防で増えたのも同じ理由からだと言われています。これらの背後にある歴史的な背景が、ヒガンバナの特異なイメージを形作っています。
ヒガンバナの鮮やかな花が咲く季節です。カメラを手に、すてきな撮影体験を求めてお出かけしてみませんか?
四季の花写真↓