カメラは美しい写真を撮影するために必要不可欠な機器ですが、使い続けると長期間の使用や環境の影響でトラブルが発生することがあります。露出がおかしくなったり、レンズに傷がついたり、カメラが起動しなくなったりすることもあります。
そこで、本記事ではカメラのメンテナンスが苦手な方でもわかりやすく、実際にあったトラブルの例をあげて原因や対処法を解説しています。カメラ外観のメンテナンス方法や、センサーの清掃方法、レンズの保管時の注意点など、カメラの長寿命化につながる有用な情報を提供しています。
これらの情報を知っておけば、カメラのトラブルに直面した際に冷静に対処できるようになるでしょう。カメラを愛用する皆さんにとって、この記事が役立つことを願っています。
実際にあった思いがけないトラブル、10の事例と対策
私の環境は
カメラ ニコンD750 D3200
レンズ タムロンSP90㎜ 70~300㎜
センサーの汚れ
撮った写真を編集しようと拡大したところ、黒っぽい点を発見。最初は気にしていませんでしたがだんだん増えてきてゴミだと思いカメラのセンサークリーニングのメニューを試すも変わらず。
- 対策
慣れた方は自分でセンサーをクリーニングをできますが、素人ではセンサーに傷をつける可能性が有るので、出来れはお店などにクリーニングを依頼する方が無難です。
獣除けの電線にレンズが触れて
お山でのこと、イノシシ避けの電線が張ってある場所で隙間からレンズを入れて花の写真を撮っていた時にレンズが電線に触れてしまい、カメラまで電気が通って手がしびれた記憶があります。幸いカメラは無事だったようですが1発で故障しかねない事例でした。
- 対策
電線の隙間からカメラを入れるという無謀なことはやめて少し距離を置いて望遠レンズを使ったり撮った写真をトリミングしたりするなど電線からは離れて撮影すること。もともとかなり高圧の電流が流れているものなので、カメラには大敵だと心得ましょう。
レンズの接点不良
レンズのピントリングを回した時に液晶の画面がチラチラと明暗を繰り返す感じでした、以前から少しは気になっていましたがいよいよ頻繁になったので、接点のコーティングをしてもらったらかなり良くなりましたけれどこれ以上ひどくなったら修理という返事ももらいました。
ちなみにレンズを交換したらちらつきなど出なかったのでカメラ本体の接点は大丈夫だったようです。
- 対策
カメラを長い間使っている方や使用頻度が多い方は、接点のコーティングをすることをおススメします。接点と言ってもカメラ本体、レンズ、ストロボ、バッテリー、SDカードなど様々ですので、すべてコーティングを店に頼むとすると高額になりますので綿棒やブロアーで汚れを取って接点復活剤を使用してメンテナンスをすることができます。
メモリーカードに保存されない画像がある
これはちょっと原因が不明なのですが、私は撮影中には連番でSDに保存する設定で失敗した写真などもその場ではなく後で編集がてら削除する方法をとっていました、それが「確か撮ったはずなんだけど」という1枚が見当たらず番号を確認するとやはり飛んでいました。
その後SDカードを変えたら不具合は出ていません、これで不具合が出るようならカメラ側の問題もあるかもしれません。
- 対策
前例の接点の問題で出る不具合もあるようですので接点のメンテナンスやSDカードの交換を考えましょう、SDカードの寿命は書き換えなど劣化していなければ10~数10年、書き換えて使用している場合4~5年、書き換え回数は数万~20万回とされていますが、これは使用状況に応じて差があるようでできることなら予備をカメラバックに入れておくのがベストです。
ぬれたストラップの処理
夏はかなり汗をかくのでストラップもぬれた状態が多いものです。移動時にカメラバックにしまうのにストラップもそのまま入れてしまうことが多くカビなどの心配もでてきます。
- 対策
ストラップもすべて撥水の素材だと良いのですけれども中には表面が布っぽい素材も有るので、出来れば外してしまいたいところですが、純正などは取り付けがしっかりしているものが多くなかなか簡単に外れないので接続のリングなどを使ってワンタッチで外せるものにしたいものです。
湿気対策で乾燥剤もカバンに入れておいたのですが、いつのまにか袋が破れてしまいレンズも真っ白になったことがありました。紙の袋に入った乾燥剤などは注意が必要です。
カメラの防滴機能を過信
撮影中、急に雨がふり出し小ぶりだから大丈夫だろうと撮影続行して、帰ってからレンズとカメラを拭いたのですが、カメラ自体は防水じゃなく防滴で更にレンズは簡易防滴でした、飛び散った水滴くらいなら良いのですけれど雨にぬらすのはNGでした。
- 対策
やむをえず雨でも撮影しなければいけない時は、カメラとレンズをタオルなどで保護するか雨降り用のカメラを入れるレインカバーを使います、レンズの先端以外をすべて覆うことができるので便利ですね。
バッテリーの不具合でシャッターも影響
互換バッテリーを使用中、最初は良かったが、3年ほど使ったら使用不能になりシャッターが切れなくなるなどの不具合が出始め、専用のバッテリーに変えてもう一度シャッターを切ったら直りました。
- 対策
互換バッテリーは価格も安いので予備のバッテリーとして購入される方が多いのですけれど、得体のしれない格安中国製(製造は中国製が主)は絶対やめた方がよろしいでしょう、中には充電さえもできないものがあるようです。
純正がベストですが価格を考えるとROWA 製などがおススメ出来ます、純正よりは安く抑えられていて保証もしっかりしています。
バッテリーの残量や劣化度などをチェックできるメニューのある機種はこんな感じで表示されます。
三脚の取り付けが緩くて移動中にカメラが動いた
三脚にカメラを取り付け担いで移動中にシッカリ締めたつもりが移動の振動でネジが緩んで来て、たいらな状態だった雲台が急に下向きになりレンズが三脚の足に当たってしまった。かなりのショックなのでカメラレンズともに故障の原因になります。
- 対策
カメラを三脚に取り付けた状態で持って歩くのはやめた方がよろしいでしょう。取り外しが面倒な方は、カメラ底面に取り付けるクイックシューというものがあります、三脚にワンタッチで取り付けられ、持ち運びもカメラにつけたままで邪魔にはなりません。
レンズの手振れ補正スイッチがオフ
レンズの仕様にもよりますが、カメラバックに出し入れの際手振れ補正やフォーカスの切換えスイッチが動く場合があります、特に中立の位置などでとまってしまうと故障しやすくすくなりますので注意が必要です、フォーカスは気づきやすいのですけれど手振れ補正は結構気づかずに撮ってしまって後で何処か輪郭がぼやけていて、写真情報(Exif情報)を見ると手振れ補正がOFFと気づきます。
- 対策
これは私も何度か経験があります、手振れ補正もそれほど強力じゃないものは撮っていても気づかないので最初の一枚をとる前に確認する習慣をつけること、露出やモードボタンに触るのと一緒ですね。
三脚や一脚を使用する場合、手振れ補正が効くレンズでも手振れ補正をOFFにした方が良い結果が出る場合もあります。また、レンズによっても異なりますので、使用するレンズに応じて手振れ補正のON/OFFを切り替えることが重要です。
急に露出がおかしくなる
同じような環境で撮っていても突然露出が極端なアンダーやオーバーになることがある。
- 対策
これは不具合というよりほとんどの場合、被写体に対しての露出が間違えていることが多いのです。あくまでも撮りたい被写体の露出を測りましょうバックの暗い場所で白いものを撮ると飛んでしまう場合があります。露出補正が誤っている場合は、0に戻すか適切な露光に設定。
カメラの測光方式によっても変わります、マルチパターン、中央部重点、スポット、ハイライト重点などの測光モードはそれぞれ被写体に応じて使い分けが必要なのでいつも同じ設定の方はこれを機会に変えて試してみるのもよいでしょう。
露出を確認するために、ヒストグラムを確認することも重要です。ヒストグラムは、撮影した画像の明るさ分布を表すグラフで、適切な露出の確認に役立ちます。
ヒストグラムの簡単な例
正常なヒストグラム
左に寄りすぎて端が切れてしまう場合は露出アンダー。
右に寄りすぎて端が切れてしまう場合は露出オーバー。
谷のような形で両端が切れるとコントラストが強い
山形で両端まで届かない場合はコントラストが弱い
日常できるメンテナンス
カメラの外観のメンテナンス
汚れを落とす際、使用するクリーニングクロスやモップなどは柔らかく、摩擦が少ないものを選ぶようにしましょう。硬い素材やザラつきのあるものを使うと、カメラの塗装面に傷がついてしまう恐れがあります。
カメラに付着した油分や指紋を落とす場合は、特に注意が必要です。油分を放置しておくと、塗装面が腐食してしまうことがあるため、汚れを見つけたらすぐに落とすようにしましょう。また、指紋を落とす際は、クリーニングクロスの端を折って使用すると、指紋がつきにくくなります。
傷の修復に関しては、素人が手軽に行える方法は限られています。カメラの外観に傷がついた場合は、まずは修理専門店やメーカーの修理センターに相談することをおすすめします。また、傷を自己修復する場合は、適切な材料や工具を使用し、慎重に行うことが重要です。誤った方法で修復を行うと、カメラを損傷させることにつながるため、注意が必要です。
レンズのメンテナンス
レンズのメンテナンスには、以下のような事項があります。
清掃
レンズに付着した汚れや指紋を落とすため、特別なクリーニング用具を使ってレンズを清掃する必要があります。ただし、適切な方法でなければ、レンズ表面に傷をつけてしまうこともあるので、注意が必要です。
保管
レンズは、高温多湿な場所や直射日光が当たる場所に置かないように注意する必要があります。また、保管する際には、レンズキャップを付けておくことで、傷や汚れを防ぐことができます。
マウント部分のメンテナンス
レンズをカメラに取り付けるマウント部分には、チリや汚れが付着することがあります。これらがたまると、マウントが緩んだり、レンズの接続不良が起こったりすることがあります。定期的にマウント部分を清掃することで、これらの問題を防ぐことができます。
フィルターの取り扱い
レンズにフィルターを取り付けている場合は、フィルターに汚れが付着することがあります。フィルターに付着した汚れを落とすために、適切な方法でクリーニングする必要があります。また、フィルターを取り付ける際には、レンズのスレッド部分に傷をつけないように、注意が必要です。
レンズの調整
レンズには、フォーカスリングやズームリングなどの部品があります。これらが緩んでいると、ピント合わせやズーム操作がスムーズに行えなくなることがあります。必要に応じて、これらの部品の調整を行うことが必要です。
カメラのファームウェアの更新
ファームウェア更新の必要性と効果
- バグや不具合の改善
メーカーが想定しなかった仕様方法などで不具合が出ることがあります、出荷の時には気づかなくても後でユーザーが使っているうちに出てくることもあるのでその対策として必要。 - レンズゆがみ補正の改善
カメラより後に発売されたレンズのゆがみ補正をするためのソフトウェアアップデート。 - 新しい機能の追加
ニコンのZ6、Z7は発売当初「瞳AF」の機能がありませんでしたが後に追加されました。
更新に失敗した場合の対処法
更新に失敗した場合は、リカバリーか修理になりますができれば発表直後のアップデートは不具合がある場合も出て来ますので何日か様子を見てからの方がよろしいようです。
センサーに関して詳しい解説
センサーはカメラの心臓部ですので少し詳しく解説していきます。
センサーの汚れチェック
センサーの汚れをチェックする方法にはいくつかありますが、以下の方法が一般的です。
カメラを白い壁や白い紙などに向けて撮影しますが、その時ピントは無限大、絞りは最大値に近く設定。撮影した画像をPCの画像編集ソフトで拡大してセンサーの汚れを確認する方法です。大きなゴミなどは肉眼でモニターでも見えます。
専用のセンサークリーニングツールを利用する
1部のカメラメーカーでは、センサークリーニングに使用するための専用のツールを提供しています。このツールを使うことで、センサーのゴミを落とせる場合もあります。
センサークリーニングに使う道具と汚れの種類
センサーの汚れを確認する際には、できるだけ明るい場所で行うことが大切です。また、センサーの汚れを見つけた場合は、専用のセンサークリーニング道具を使って汚れを取り除くようにしましょう。
センサークリーニングは、正しい手順で行わないとセンサーに傷をつけたり、汚れを落とせなかったりするリスクがあります。ここでは、センサークリーニングで使用する道具の種類と使い方、そしてセンサーの汚れの種類と対処法について、素人が特に注意することを具体的に解説します。
道具の種類と使い方
センサークリーニングには、次のような道具が必要です。
- エアブロワー
- センサースワブ
- センサークリーニング液
まず、エアブロワーでセンサー上のチリやゴミを除去します。エアブロワーは、圧縮空気を利用してセンサー上の汚れを吹き飛ばす道具です。ただし、圧縮空気はセンサーにダメージを与えることがあるため、エアブロワーの使用には注意が必要です。
次に、センサークリーニング液をセンサースワブに含ませ、センサー上を優しくこすります。センサースワブは、センサーのサイズに合わせて選ぶ必要があります。センサースワブをセンサー上に置いて、少しだけ圧をかけながら優しく動かすと、汚れが落ちやすくなります。
汚れの種類と対処法
また、センサーには、次のような汚れが付着することがあります。
- チリやゴミ
- 汚れや指紋
- 油脂やカビ
チリやゴミはエアブロワーで吹き飛ばすことができますが、汚れや指紋はセンサークリーニング液とセンサースワブを使用して取り除く必要があります。ただし、センサークリーニング液の種類や使用量には注意が必要で、過剰に使用するとセンサーに傷をつけることがあります。また、油脂やカビのような頑固な汚れは、プロに依頼することをおススメします。
上記は一般のセンサークリーニング方法ですが、正直に言いますとクリーニングスワブを使ったセンサーの掃除は初めての方には絶対おススメしません、センサーに傷がついたら修復不能だからです。どうしてもやってみたい方は、中古で安いカメラを買って練習してみるとよろしいでしょう。
練習したい方のために動画を、
カメラのキタムラでメンテナンス
カメラのセンサークリーニングをカメラ量販店に依頼したら、店では対応できずメーカーに郵送することになり、送料込みで5500円かかりました。しかし、カメラのキタムラが近くにあり、費用は3300円で即日引き渡しのサービスを提供していることがわかり、そちらでクリーニングをすることに決めました。
店舗一覧から実施店舗を選んでください。
価格 | |
センサークリーニング APS-C フルサイズ | 各3,300円(税込) |
ボディ外観清掃 レンズ・フィルター清掃 電気接点コーティング | 各1,100円(税込) |
注意しても入って来るゴミ
さてここでクリーニングが済んで、めでたしといきたいところですが、1か月もしないうちにまたゴミを発見。1つなので編集で消すことにしました。
編集前、赤い部分にゴミが見えます。
簡単に消えます、webの無料ツールを使っても可能です。
レンズ交換の時に本体を下向きにしてできるだけ素早くなどと言われていますが、センサーに着くほんの小さなゴミまでは回避不能という結論に達しました。
確かにいくら安いと言っても3300円をそうたびたび使ってはいられないし、頻繁のクリーニングでセンサーに傷がつかないとも限りません。
ただしゴミが多くなり玉ボケに大量に映り込む場合も有るので、その時はクリーニングに出しましょう。
まとめ
この記事では思いがけないカメラのトラブルとその原因と対処、また日常的なメンテナンスの重要性について説明しました。カメラの寿命を延ばすためには、外観の汚れを拭く、レンズキャップをつけたまま保管することなどが大切です。また、センサークリーニングやレンズの修理についても、どのあたりで専門店に依頼するかなどの目安にしてもらえたら幸いです。
トラブルに直面した場合には、冷静に対処し、原因を特定して対処法を検討することが大切です。カメラのトラブルはこの記事にあげた10個だけではなく、様々なものがありますが、皆さんも、日頃からメンテナンスを怠らず、カメラのトラブルやメンテナンスについて正しく理解して、楽しい写真撮影ライフをお送りください。