「みつからない」でも撮ってみたい山野草
山野草ってネットや本ではみたことがあるけど、実際にみたことが無い、実物を撮ってみたいと言う方のため、私が20年ほど撮影してきた東海地方の四季の山野草や場所を公開します。
少なくなってますます秘密に
山野草は貴重な花なので、その生息場所が公開されてない物が多いです。
特に盗掘が多い最近は、情報を非公開にするところも増えてきていますね。
私も、撮りたい山野草があっても場所がわからず、近くまで行っては探しきれずあきらめたことが何度もありました。
そこで、今回場所が分かる30種類を公開してみようと思います。
東海地方四季の山野草30選
今回は四季を一応月別で分けましたので、実際には微妙に違った季節に分類されるのもあります。
簡単な撮影方法も書いていますので参考に。
春 4月~6月
①キンラン
白色のギンランに対し黄色のキンランと呼ばれてます。
土壌に菌が無いと咲かないので採取しても育てられません。
陽当たりのよい場所にはあまり咲かないので、光を取り入れて撮る工夫が必要。
②ギンリョウソウ
腐生植物で、毎年似たような場所で咲きます。暗い場所に多くその姿からユウレイ茸と呼ばれることもあります。
ローアングルの撮影になりますので、カメラは地面に置いた方がらくです、暗い場所が多いのでシャッタスピードを速めの設定やストロボ使用を考えましょう。
③トキソウ
春日井市築水池外周湿地
周回路北側の湿地でみられます(池の右上くらいの位置です)。柵で保護されていますが年々数は減っているようです。
陽当たりのよい場所に咲きます、光がまともに当たるので逆光気味で撮ったほうが立体感がでます。
④イワカガミ
小牧市兒(ちご)の森
今年(2022年)は花付きが悪く開花が数輪しか確認できませんでした。
入り口から登りのハイキングコースを歩きますが、緩やかなコース(約50分)とかなり急な登りのコース(約15分)があるので体力次第でどちらでも。
斜面に咲いているので下からの撮影が多く寄れたらマクロ、離れてたら望遠とその場の状況にあわせてください。
⑤ミノシロカネソウ
豊田市大野瀬子持ち桂近辺
山の斜面に点在していますが、近年大規模な山林伐採があるのでかなり数が減っています。
4年ほど前にミノシロカネソウと変更、それまではハコネシロカネソウと呼ばれていました。
撮影は昼間でも光が入りにくい所なので補助光が必要。
⑥トウゴクサバノオ
豊田市 稲武ウルシゼ地区
非常に小さな花なので知らなければみのがしてしまいます、特に蕾の時は葉っぱを覚えていないとわからないです。
気温が低いと開かないので撮影は午後にしましょう。クリーム色の花弁が出るように撮るときれいです、透過光も花が暗くならないようにすると色がでます。
⑦キエビネ
豊田市エビネの森
山に植栽されたものですが、環境は自然そのもの。普通のエビネより少し遅めに咲きます。
大きめの黄色い花は透過光で撮るときれいに色が出るものです。山の斜面を利用して下からのアングルだと花芯も見えてランらしい顔がみえます。
⑧クマガイソウ
豊田市エビネの森
植栽された花がかたまって咲いています。
葉の形もおもしろいので撮る時は葉が入る角度がよいですね。
夏 7月~9月
⑨ミヤマウズラ
大きな株は毎年花を咲かせるので前年咲いた場所を覚えておくとよいでしょう。
最近は小さな株が多く、森の中やみくもに探してもなかなかみつからないでしょう。私は出会うのに2年かかりました。
できれば行ったことのある方に詳しく場所を聞いてから行くのがおススメです。
背が低いのでカメラも低位置が多くなりますよ。花が可愛いのでマクロで寄ったほうがよい雰囲気で撮れます。
⑩シラヒゲソウ
東海地区では、ここと豊田市の2か所しか自生地がありません。花を近くでみられるのは明智の森で、豊田市の方はフェンスで囲って写真も撮りにくいです。
撮影はシラヒゲソウの沢と渓流広場が花も多いので撮りやすいですね。
2022年9月5日、渓流広場で群生咲き始めています。
群生のすぐそばまでいけるので茎など踏まないように注意しましょう。花弁とシベの繊細さを撮りたいのでぜひマクロで。
⑪オオミヤマウズラ
アケボノシュスランとミヤマウズラの交雑種と言われてます。ミヤマウズラより花が開かず花期も1か月ほど遅いです。
毎年、微妙に咲く場所が変わるので、春ころから葉っぱをチェックして場所を覚えておくとよいですね。
写真の状態でほぼ満開、これ以上開かないので撮りごろです。
⑫レンゲショウマ
豊田市エビネの森
以前は稲武方面で自生もみられましたが、数を減らしています。管理されたここは、花数も多く見ごろに行きたいですね。
撮影はこちらを参照に
⑬オオキツネノカミソリ
豊田市稲武大栗山
お盆前後に山一面2万本の群生がみられます。ピーク時は県道沿いに車が並び遅い時間だとかなり離れたところから歩きになります。
入り口から600mの山道歩きで現地に着きますが夏は厳しいですね。
昼間も光があまり入らない高木の森の中なので撮影は光が入ってスポットが当たった場所がよいですね。幻想的な雰囲気の作品もできます。
⑭ゲンノショウコ
高い山へ行かなくても割と近場でもみられる花で、枯れてから見られるミコシグサも被写体としてはおもしろいです。
⑮ツリフネソウ
湿地などに多くみられます。独特な形がおもしろい花なので横向のフォルムを撮ったり、色がきれいなので透過光も似合う花です。
⑯コマクサ
山野草と言うより高山植物ですね。濃い赤色、ピンク色、白色があります。
小さいので寄って撮りたいのですが、踏まないように注意してください。
千畳敷のカール内の花畑には咲いていません、登山道途中や頂上木曽小屋周辺・西駒山荘周辺にみられます。
小さい花なので離れていたら登山道を外れずに望遠で撮りたいですね。
秋 10月~12月
⑰ウメバチソウ
高山や北の地方では2か月ほど早く咲くこともあります。この場所では、シラタマホシクサと一緒に咲いているのがみられます。
花芯の辺りはシラヒゲソウによく似ていますが、複雑な造りはみていても飽きない美しさです。 しっかり寄って花芯を撮りたいですね。花が白なので白飛びすると肝心のシベもみえなくなるので要注意。
⑱サクラタデ
河川や池など水辺ギリギリで咲いています。山野草と言うほどじゃないですが、群生で咲く場所は限られていて近年減ってきていますね。
茎が細く風で揺れるのでシャッタースピード速めがよいです。花弁が透けて名前の通り淡いさくら色がみえると最高ですね。
⑲ダイモンジソウ
渓流の岩の窪みに根をおろして咲くユキノシタによく似た花。水が冷たくなった秋に開花します。
川の中に咲いてることが多く、光の入りも少ないので三脚は必須ですが、いつも立てる場所がなく川の中に設置します。倒れたらカメラごと川の中なのでくれぐれも注意して撮ってください。
紅葉も有名な場所で11月にはライトアップもあります。
⑳センブリ
昔は胃薬としてちょっと山に入るとたくさん採れたようですが、今は少なく小さな株が点在している状態。
種類の違うムラサキセンブリと言う花もありますが、場所が特定できずまだ撮れていないので今年くらい撮ってみたいです。
小さな花でシベの色も綺麗なので、寄れる場所では、ぜひマクロで撮りたいですね。
㉑キッコウハグマ
非常に小さな花で探してもみのがすことが多いです。開花時期はその年の気候によって大きく変わり花をつけず閉鎖花で終わる年もあります。
撮影はオレンジ色のシベが3本みえる状態が良いです。1個にみえる花は3個の花が集まってできているのですよ。
㉒アケボノソウ
比較的背も高く明るい場所に咲いてるので撮りやすい花です。
名前の由来(花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたこと)になった花弁の星模様を入れて撮りましょう。
冬 1月~3月
㉓セリバオウレン
瀬戸市岩谷堂浄源寺
お寺の裏山でみられますが、檀家じゃないので一声かけてみせていただいております。
常連さんはそのまま入っていきますが、声をかけるのは常識として必要かと思います。とても親切な住職さんなので「どうぞー」と言っていただけると思いますよ。
数ミリしかない花なので、咲き始めは枯れ葉の中から花を探すのが非常に難しいです。
群生してくると撮りやすくなりますが暗い場所なので補助光と三脚の準備必用。
㉔シコクバイカオウレン
瀬戸市岩谷堂浄源寺
セリバオウレンとほぼ同じ場所に咲いていますが、こちらは広範囲ではなく、2か所で株になって咲いています。この辺りではあまりみられる場所も少なく貴重な花なのです。バイカオウレンは種類も何種類かあってここで見られるのは、シコクバイカオウレンのようです。
寄って花芯の造りをシッカリ撮りたいですね、同じオウレンという名前でもセリバオウレンに比べると違ってみえます。
バイカオウレンの撮影はこちら
㉕キバナハナネコノメ
沢登りコースの始点と県道が交わった辺り、沢を少し入った所で咲いています。
水が結構勢いよく流れ岩肌に飛び散るような場所です。
寄って撮るとカメラにも水滴が飛ぶことも有るので気をつけましょう。足場も不安定なので三脚を立てたらしっかり固定したいですね。
シベの葯(やく)が取れてしまう前が色もきれいなので撮る前に花をみて選びましょう。
㉖シロバナネコノメソウ
まだ残雪が残るころ登山道の途中の滝のそばでみられます。花だけ撮る場合でも登山道ですので足元はシッカリした格好にしてください。
キバナハナネコノメと同じでシベの赤色の葯(やく)がポイントなので、赤色がみえている花を探します。
㉗セツブンソウ
ここは花が早く正月過ぎたころから咲き始めます。近くにも数か所自生地がありますよ。
節分の頃には群生がみられとてもきれいですが、キンポウゲ科ならではの複雑な花芯も魅力があるのでマクロも撮りたいですね。
㉘ミスミソウ
ここは植栽された花で自生のものは、三河の山間部でみられるようです。自然の物は白色が多く色があるのは園芸種となっています。
花が少ない時期に枯葉を押し上げて顔を出す様は、春を待ちかねた妖精の雰囲気です。
気温が低いと花がなかなか開かないので暖かい日か午後からがよいでしょう、開きたては蕊も綺麗ですのでチャンスですね。
㉙ニリンソウ
春山を代表する花でキンポウゲ科の花。蕾がピンク色してますが開くと中の白色が上になります。
半開きでピンク色が少しみえるくらいで撮ると色にもアクセントがつきます。
㉚カタクリ
春の妖精と呼ばれる花で、香嵐渓の飯盛山の斜面に群生がみられます。
お日様が当たって気温が上がる午後が見ごろになりますが、光線の状態は午前中の方が良いので早めに行って開花待ちをしていた方が、チャンスを逃がさずに撮れそうです。
山野草を撮りに行く前に
山野草は繊細な花が多く、その年の天気や降雨量などで咲く時期も大きく変わってくるので少し早めに下見に行くなど準備が必要です。
レンゲショウマなどは、蕾のままで数か月咲かないということも普通にあります。
午前中は開いていない花も多いので(特にキンポウゲ科)調べてから出かけるようにしましょう。
花後の形がおもしろい花も、チェックしておいて時期が済んでからみに行くとまた新たな発見が。
ミコシグサ(ゲンノショウコの花後)
まとめ
まだまだ山野草は種類がたくさんありますが、私はあくまで写真をメインに撮り歩いていますので、専門に山野草を探して山歩きしてるわけではないです。
画像も花を分かりやすくみせるためマクロ撮影が多くなっています。
登山などハードなことは無理でも、山野草をみてみたいと言う方のために車などで手軽に行ける所をまとめてみました。
詳しい場所につきましては、出来るだけ場所を載せていますが保護のために地図情報の無い花もあります。どうしても知りたい方は、お問い合わせなどからメールを頂けたら、対処できるかもしれません。
年数がたって咲く場所が変わったり、絶えているところもあるかもしれませんが、毎年全て確認できませんのであしからず。
花好きの方に悪い方はいないとは思いますが、今年瀬戸市岩谷堂浄源寺さんの境内横に「花は撮っても採らないように」という貼り紙がされました、出来る事なら後世まで貴重な山野草を残していきたいものです。
四季の花の写真↓
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