桜に無い魅力を持つ梅の花
パッと咲いて潔く散る桜の花、そんな派手さはありませんが梅は桜に無い華やかさを持った花です。咲き始めるとつい撮ってしまう花ですが、その反面撮りにくい花でもあるのです。
そんな梅の花の撮影方法を失敗の例もあげてご紹介します。あちこちで梅まつりも開催されていますのでぜひ参考にしてお出かけください。
花に惑わされてしまう写真が多い
梅の花の撮影は、どこが難しいのかと言いますと何も考えずに撮ると本当にただの記録写真になってしまうから。
桜もそうですが花の豪華さや多さに惑わされてシャッターを切ってしまうと、もう一度見なおしたい写真にはならないことが多いのです。
その場の状況に応じた撮り方を覚えておくと失敗の少ない写真も撮れるようになってきます。
梅の開花時期や条件
花を撮るにはまず花を知るということが大切。梅と桜の開花時期の違いは桜の方が休眠の時間が長いので咲き始めも梅より遅くなります。どちらも蕾は夏にできますが、休眠が浅い梅はちょっとした気温の変化に敏感で少し暖かい日が続くと年明け前に開花することもあります。北海道など寒い地域では桜と梅が同時に咲くことも珍しくないようです。
梅は早咲きが12月後半から遅咲きが3月中旬までなので2か月半も花を楽しめるのに対して桜は早咲きの河津桜が2月でソメイヨシノは3月中旬、枝垂れ桜など遅咲きが3月下旬と見ごろが2か月ほどで半月から1か月梅の方が長く見られます。ただし、桜は種類によって秋や冬も見られますね。
桜の撮影はこちらから
梅の種類
梅は早咲き種、なか咲き種、遅咲き種に分けられるようですが、大きく早咲きと遅咲きに分けて見てみました。
主な早咲き種
- ロウバイ
- 八重寒紅
- 冬至梅
- 大盃
- 白加賀
- 鹿児島紅
主な遅咲き種
- 輪違い(思いのまま)
- 南高
- 豊後
- 月影
- 黒梅
- しだれ梅
シーン別の梅の撮影と注意点
紅白混ぜて撮る時
梅園などで撮ると紅白混じって咲いていることがあります、この場合もどちらか片方をボカして撮ると主題が明確になります。
アップで撮る場合
アップで撮る場合は、マクロレンズが主になります。梅は桜よりもシベが密集して咲き始めと最盛期ではシベの様子もかわってくるのですが、咲き始めの頃は整って葯もつき初々しく見えます。
ピントは、マクロレンズで寄るとすべてのシベには合いにくいので一番手前側に合わせると自然に見えます。シベ一本に合わせるつもりでAFからの微調整も必要ですね。
鳥を入れて撮る場合
花が全盛期になると鳥もたくさん寄って来るようになります。離れた所から撮る事になりますので望遠レンズが有ると便利です。花自体は透過光や逆光で撮るときれいなのですが鳥が黒つぶれしやすいので、この場合は鳥が主役で花が脇役の撮り方になります。
多くの花を入れる時
梅園の写真ですが、ただ単純にたくさん花をいれただけの作例であまり感動もない記録写真ですね。
少し距離を考えたりボケを入れたりなどひと工夫することで、花も生き生きと見えて来ます。
枝を入れて撮る場合
画面の上下左右に枝が貫通してしまうと、花よりそちらに目が行ってしまいますので少し難しくなりますがバランスを考えて枝を入れることが大切です。
写真はまだ枝がボケているのでそれほど目立ちませんが、できればもう少し枝をボカした方が効果ありますね。
枝というより木全体の中に枝を配置するという感覚で撮ってみましょう。
光の状態とコントラスト
お日様が高い位置の順光は作例のように立体感が出しにくい状態になります。影が出る時はコントラストを抑えめにして影を目立たないように撮ると花の柔らかさが出ます。
曇り空は花の色も落ち着いた感じに撮れますが、その分コントラストがたりない時も出て来ます、ハイキーの表現でコントラストを抑えるという撮り方もあります。
ストロボを使って撮る場合
日中のストロボ使用は逆光で花が暗くなった場合など有効ですが、明るすぎると不自然に見えることが有るので反射させたり薄い紙で光量を調節したりなど試してみるのがよいでしょう。作例は明らかに不自然に見えますね。何種類か撮って比べてみる事も大切になってきます。
水滴を入れて撮る場合
梅の花は一度開くと散るまで閉じることが無いので雨あがりに行くと花に水滴がついた状態で撮れます。光が当たると反射してとてもきれいにみえますが、この場合は水滴をメインにしてピントも花より水滴にあわせて撮ること。
マクロレンズの場合は、水滴の中の映り込みにピントを合わせても面白いのですが、AFでは合わないのでMFで撮ります。
散った花弁を撮る場合
梅園の通路を映してみたのですが、ピークを過ぎて散り始めたら主役も地面に落ちた花弁にしてみると花の終盤の様子を表した表現ができます。
背景の処理
白梅に曇り空など白バックは写真のように花がバックと同化して見にくくなるので少し濃い目のバックを探しましょう。 青空は白梅、紅梅どちらも似合って見えます。
ボケを効果的に使う
しだれ梅の梅林などは、ボケを効果的に使うと奥行きや見た目の華やかさも演出できます。絞りを開いた玉ボケや前ボケは多すぎるくらい入れてもそれ程うるさい感じにはならないようです。
逆光で撮る場合
ストロボの所でも触れていましたが、逆光で撮ると花が暗くなることが多くなります、そこで花を利用して透かして撮るという方法もあります。まともに太陽をバックにせずズラして透過光を使うと立体感の有る写真が撮れます。
蕾を撮る場合
蕾もとても良い被写体になります、花と絡めてもよし、単体で蕾だけ撮っても画になります。
梅の名所と2023年の梅まつり
- 期間: 2023年2月19日~3月19日
- 梅の本数:340本
- 期間:2023年2月15日~3月12日
- 梅の本数:530本
- 期間:2023年2月23日~3月21日
- 梅の本数:700本
撮影のためのテンプレート
様々な状況を想定してある程度テンプレートのようなものを頭の中に入れておくと、そこから引き出して写真を撮る事ができますね。
いろいろあげた例の他にも、
こんな撮り方をしたら見映えが良くなったよ
良かった写真の条件や設定を覚えておくと同じような時に使えますね、写真のexif情報などもかなり参考になります。
写真には必ず正解というものはありません。似たような状況でテンプレートを応用して使っていくだけでも、写真の出来は格段に違ってくるものです。
まとめ
桜と並んで日本を代表する花である梅。時には妖艶に、また時には和の雰囲気でシットリと場所や時期に合わせて撮ってみたいですね。
もう十年以上毎年撮ってきてこれからも撮り続ける予定の花ですので、追加できる撮影方法などが有りましたら更新してゆきたいと思っています。