日本人の好きな桜の写真
春と言えば、日本人ならみんな大好きな桜の季節。ここ2年ほどお花見も自粛ムードでしたが、今年はそんな規制も無くなりそうですね。
桜が咲くとカメラやスマホで写真を撮る方をよく見かけますが桜の写真って撮ってみると意外に難しいと思ったことはありませんか。
つい撮りたくなるけれど実際撮ってみると、思っていたものと違うというのは桜だけじゃなく他の写真にも言えることなのです。
この記事ではちょっとした注意や気づきで今までの桜の写真を少しだけ見栄えの良いものに変えられるヒントを書いています。
なぜ見た目と違う写真になるのか
なぜ見た目と違う写真になるのか、これは写真に慣れた方、慣れていない方関係なくファインダーで見た世界というのは、微妙に現実のものと違っている(人の目とレンズの違いがある)からです。
頭の中の映像は実際に見た世界なので出来上がった写真が、
ちょっと違うんじゃないの?
となってしまうのですね。
確かに背景に玉ボケが入った画像なんて、実際に人の目では見えないですよね。
そこで、写真を撮る目をいかにレンズに近づけるかということになります。後のシーン別参考例での解説でレンズに近い目を作ってみましょう。
桜の写真が撮れる期間
まずはソメイヨシノをメインにお話しして、他の桜については後半で少し触れてみようと思います。
ソメイヨシノは平均すると3月の初旬から蕾が膨らみ始めて4月になると散りかけるので蕾からの撮影期間は20日ほどになります。
満開の時期だけに限ると1週間ほどしかなく短いですよね。天候にもよりますが、その間に撮影の準備をして撮らなければいけません。
そこで、その短い期間の中で出会うであろう天気、時間、場所、花の状態など様々なシーンに分けて実際の作例と解説をしていきます。
様々な桜のシーンと作例
晴れ
青空と桜の色はとても良く似合います。青空をバックに順光で撮るのも良いのですが、順光と言うのは色がきれいに出るけれど立体感が無くなることが多い光なのです。
順光は白飛びもしやすくなりますのでできるなら少し斜めから光が入った斜光や透過光で撮ると立体感も出ます。
曇り
曇りの日は空をバックにすると、花の色も目立たなくなりますので緑や黒を入れると花が引き立ちます。
花の色は空の映り込みなど無い分きれいにでますがコントラストが弱めになるので、撮影か編集で調整します。露出は曇り空の白が多くなると花が暗めになるのでプラス補正で。
雨
雨の日はやはり滴を入れて撮りたいですね、暗めになりやすいので露出や手振れに注意したい所。
花弁が雨で透けた感じに見えるので透過光で撮ると、質感も出てきます。
朝
花の色、立体感ともに出やすく私はこの時間帯の撮影が一番多いです。日の出から30分前後はかなり色の変化があるので短い時間の中でもバリエーション豊富に撮れますね。少しブルーっぽくすると朝の雰囲気が出ます。
昼
人出も多くなり撮りにくい時間帯ですが、一番多く写真が撮られる時間帯でもあります。明るく花の色もシッカリ出る反面、光の選択次第で全く立体感が無くなったり白飛びをして色が無くなったりしますので注意。
背景を濃い目にしてメリハリをつけると花も引き立って見えます。
夕方
朝と似たような光線になりますが、あえてシルエットで撮ったり、WB(ホワイトバランス)を調整して赤みを強くすると夕方の雰囲気を出すこともできます。
夜
ライトアップは三脚が必要になってきますが、人が多いと使えない場所もあります。手持ちでは、スマホやコンデジの方がきれいに撮れることが多いですね。
風がある場合は、シャッタースピードを速めに設定してブレるのを防ぎましょう、ライトは暗くなるほど露出オーバーになりやすいので注意。
絞り、ISO、シャッタースピードを変えて数多く撮って比べてみるとかなり違って見えることに気づくでしょう。
できれば下見がてら空の青色が残っている時間に撮ってみましょう。真っ暗になってからのライトアップはライトの色が強くでるので夕方のほうが花の色がよくみえます。
街灯の光の中あえてWB(ホワイトバランス)を変えずに不思議な色の桜を撮ってみるのも面白いものです。
蕾
蕾が膨らんで色が見えてくると開くのが待ち遠しいですね、開いた花の色がわかるようなピンクがとてもきれいです。
でも、花は蕾の方が色の濃い場合が多く開いた桜の花は写真に撮るとかなり白っぽい色にみえるのです。桜の花がピンク色というのはこの蕾の色が頭の中にあるからなのかもしれませんね。蕾の色を強調して撮ってあげると優しさや柔らかさも表現できます。
咲き始め
咲き始めの桜は何と言ってもそのオシベの初々しさを撮りたいものです。開いてすぐの桜のオシベは黄色の葯がついた状態で、咲き進むほどオシベと花芯の色は赤くなっていきます。終盤の桜が色濃く見えるのはこのためですね。
咲きたての花を撮れる期間はかなり短く私は開いて3日くらいまでに撮るようにしています。
枝に咲くのじゃなく幹から直接出ている胴吹きの桜。枝の桜より早めに咲くことが多く幹を絡めて違った雰囲気で撮れます。太い老木から出て咲いていると命の力強さを表現できます。
満開
満開の桜は、向こう側が見えなくなるような花の重なりを撮りたいところです。
望遠やマクロで前後のボケ、広角で寄って花の迫力とあれこれ撮ってみたくなりますがどの枝のどの花をメインにするか、また花を副題にして主題を別のものにするなど撮るものを明確にしないとただ花に埋もれた写真になってしまいます。花に圧倒されずに、じっくりと見ることが大切。
散り際
散る前の桜は、花芯が赤っぽくなるので全体に染まった感じに見えます。川面を流れる花が撮れるのはこの時期。
地面に落ちた花弁や川を流れる花筏は風情があって良いですよね。スローシャッターで花筏を撮ると川に模様ができます。画像は1.3秒のシャッタースピードで撮影。
桜吹雪を撮りたい時は暗めの背景で連写するとチャンスを逃さないです。
満開から散り際までが一番多く写真が撮れる時期ですね。
他の花と絡めて
菜の花やタンポポなど他の花とコラボで撮るのも楽しめます。葉の緑や黄色の花はどちらを主題にするかでボケを選びましょう。
特徴のある花の形
桜の花は花てまりといって丸い塊になることがあります。特徴有る形をとらえてライトアップで強調してみました。
川
川に咲く桜の木は風の無い時に映り込みを狙って撮ってみましょう。青空をバックに入れると効果的ですね。
水辺では、光の反射でけっこう意識的に玉ボケを入れて撮影もできます。絞りを開くか被写体に寄ると玉ボケも大きくなるのですが見た目では分からないのでファインダー(モニター)でボケを確認しながら撮りましょう。望遠やマクロレンズ推奨です。
堤防
堤防に桜の木が多いのは、しっかりと張った根が堤防を守ってくれるからだそうで、引いて撮る構図が多くなりますが、あえて寄って太い幹の力強さを表現するのも面白いでしょう。
お花見
お花見の季節は、どうしても花の写真に人が入ってしまうことが多くなります、ならばあえて人を入れてお花見の雰囲気を出して撮ってみるとドラマチックな演出もできます。ただしその写真をSNSなどに投稿する場合個人を特定できる情報などはいらないようにしないと後に問題になることもあります(今回は少し加工してあります)
岩倉の五条川(千本桜)
今回ライトアップの写真など撮った場所ですが、岩倉の五条川、千本桜で有名な場所で日本桜名所100選にも選ばれています。愛知には他にも名所がありますが、満開のライトアップから川を流れる花筏まで楽しめる場所になっています。
ソメイヨシノ以外の桜
ソメイヨシノの少し前に咲く河津桜は濃い目のピンク色が特徴。
四季桜や十月桜は紅葉の頃にモミジと一緒に撮ると幻想的な世界に。
ソメイヨシノが散る頃、ボタンザクラや枝垂れ桜が咲きはじめます。
RAW現像で見た目に近い景色に
花の色が今一つ出ない、ライトアップの雰囲気が思ったのと違っている、そんな時は、RAWで撮っておいて、現像段階でレタッチをすると撮影時の状態に近づけることもできます。
2枚の写真で現像レタッチ前後を比べると、
少し極端ですが違ってみえますね。現像レタッチ後のほうがライトアップの雰囲気が出ています。
RAWについて詳しく知りたい方は、
それぞれリンクの記事を参照してください。
まとめ
2年ほど続いたコロナ禍でのお花見自粛、2023年は大丈夫そうなのでカメラを持ってでかけられそうです。せっかく2年ぶりに思いきりお花見ができるのですから、写真もシッカリ撮ってみたいですね。
桜に限らず写真に正解というものはありません。100枚の桜の写真があったら100枚それぞれ違って当然、正解があるならすべて同じ写真になってしまいます。
ただ、少し真似をしてみたり撮り方を変えてみるだけで見違える写真になるということはあります。
それぞれのシーンで少しずつ書いてあるヒントや注意を読んで、今年の桜写真の参考になれば幸いです。
四季の花写真はこちら↓