バラ園に出かけて、たくさんのきれいなバラの写真を撮った経験はありませんか?色とりどりのバラが咲き誇る様子に魅了され、ついついシャッターを切りまくったことがあるでしょう。しかし、家に帰っていざ写真を見返してみると、どこかで見たような写真ばかりで、感動が薄れてしまった経験はありませんか?
バラの撮影は他の花に比べて難しい被写体です。その完璧な美しさは誰が撮っても似たような写真になりがちです。SNSで見られるバラの写真もほとんどが似通っていて、一眼レフカメラなら背景のボケなどで個性を出せますが、スマホで撮影すると一眼レフカメラに慣れた人でも同じ条件ではあまり差が出ません。
では、人目を引くバラの写真は一体何が違うのでしょうか?どのようにすればありきたりな写真から脱却し、感動を呼び起こすような写真が撮れるのでしょうか?
この記事では、ちょっとした工夫で映えるバラの写真や目を引く写真を撮るためのコツを紹介します。スマホを使っても人の目をひくような写真を撮影するためのテクニックを知りたい方は、ぜひ読み進めてください。あなたのバラの写真が、SNSで注目を集める一枚になるかもしれません。
スマホでバラの花を撮影する魅力
今、多くの方がスマホを使ってバラの写真を撮り、シーズンになるとSNSには大量のバラの花写真が投稿されています。スマホを使ったバラの撮影には、魅力的なポイントが数多くありますが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、そのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
スマホでバラを撮るメリットとデメリット
スマホでバラを撮影することには、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
- 手軽に撮影できる
スマホは常に持ち歩いているので、いつでもどこでもバラを撮影できます。一眼カメラのように重い機材を持ち運ぶ必要がありません。 - 操作が簡単
スマホのカメラは操作が簡単です。難しい設定を覚える必要がなく、誰でも簡単にバラを美しく撮影できます。 - すぐに共有できる
スマホで撮影した写真は、すぐにSNSで共有できます。家族や友人と美しいバラの写真を瞬時に共有できます。 - 便利なアプリが豊富
バラをきれいに撮影するためのアプリが数多くあります。これらのアプリを利用することで、写真の編集や加工が簡単にでき、より高品質な写真を撮影できます。
デメリット
- 画質の限界
スマホのカメラは、一眼カメラに比べて画質が劣ります。特に暗い場所での撮影や、ズームが必要な場合には画質が低下しがちです。 - 表現の幅が狭い
スマホのカメラはレンズが固定されているため、表現の幅が限られます。一眼カメラのようにレンズを交換して多様な撮影スタイルを楽しむことはできません。 - バッテリーの消耗が早い
カメラアプリを頻繁に使用するとバッテリーの消耗が早くなります。長時間撮影する場合は、予備のモバイルバッテリーを用意しておく必要があります。
スマホで撮るバラの写真テクニック
スマホでより良いバラ写真を基本から応用テクニックを解説します。
照明の基本
スマホに限らず写真は光(照明)が一番大切です。
自然光の活用
お日様が高くなる日中はコントラストが強すぎて白飛びや黒つぶれがおこります、順光では平面的になりがちで、逆光では暗くなり撮影が難しくなります。朝や夕方の斜光線の時間帯に撮影すると、光が柔らかく、バラの立体感を美しく捉えることができます。
また、朝はバラの香りが最も強くなる時間でもあり、撮影と一緒に香りも楽しむことができ、リラックスしたひとときを過ごせます。
傘を使った日よけ
バラの花の色は晴れた日の順光で鮮やかに映りますが、強すぎる光はコントラストが強くなりすぎたり、白飛びを引き起こすことがあります。淡い色(白)の日傘などで直射日光を遮ると、バラの柔らかい質感を表現できます。
この際、淡い色の日傘を使うと良く、濃い色だと色かぶりが発生します。完全に日陰にすると、色がくすんだり立体感が失われることがあるので、適度に光を取り入れる工夫が大切です。
快晴より薄曇り
快晴の日よりも明るめの薄曇りの日が、バラの色をきれいに表現できます。光が柔らかく拡散されるため、コントラストが強すぎず、バラの色合いや質感が自然に映し出されます。
薄曇りの日はコントラストが弱めになるので、柔らかな雰囲気を表現するのに向いています。ただし、淡い色は力強さには欠けるかもしれません。曇りの日でも光が不足する場合は、補助光を使ってバラを明るくすると、さらに美しく撮影できます。天候の違いを理解して、最適な撮影タイミングを見つけましょう。
補助光の使用
逆光での撮影は、バラに立体感やドラマティックな雰囲気を与えるのに効果的ですが、影の部分が暗くなる可能性があります。そのため、補助光を使用することを考えると良いでしょう。
充電式のLEDライトは便利で、撮影時に必要な光を調整し、影を明るくするのに役立ちます。ストロボも一定の効果がありますが、シャッタースピードの制限があるため、使いづらいと感じる方もいます。そのため、100均でも手に入るLEDライトなどの補助光を試してみることをおすすめします。これにより、バラの撮影における光のコントロールがより容易になり、より魅力的な写真を撮影できます。
色飽和の対策
赤や黄色などの色の花は、光の当たり方によって色飽和が起こりやすく、花のディテールが失われることがあります。
色飽和とは、色が強すぎて花の形やテクスチャーがわかりにくくなる現象です。
スマートフォンのカメラアプリでは、一部の機種でコントラストや彩度を調整できる場合もありますが、機種によってはその機能が制限されていることもあります。
晴天時の強い光線下では、色飽和が起こりやすくなるため、撮影時には避けることが望ましいです。もし色飽和が発生した場合は、撮影後に写真をレタッチして調整することが有効です。
コントラストや彩度を抑えることで、花の色合いをより自然に表現し、ディテールを引き出すことができます。
バラを引き立てる構図や背景
ここからは、背景や構図を考えることでワンランク上の写真を撮ってみましょう。
背景の選択
背景が複雑で目立つ場合は、背景をシンプルにすることで被写体を引き立てる効果があります。例えば、背景に黒い紙などを使用して一色に統一すると、被写体がより際立ち、写真全体がすっきりとした印象にみえます。背景がシンプルであれば、バラの美しさや色彩が引き立ち、視覚的な混乱を避けることができます。
撮影時には、背景の選択にも注意を払い、被写体をより魅力的に表現するための工夫を行いましょう。
広角の画作り
スマホのカメラは、通常広角レンズが搭載されており、全体を広く撮影できます。そのため、被写体全体がピントに入りやすい特徴がありますが、同時に余計なものが写り込みやすい傾向があります。
撮影中は主に花を見ているため、周囲の細かなディテールに気付きにくいことがあります。そこで、撮影後に写真を確認し、不要な要素が写り込んでいないかをチェックしましょう。また、適切なアングルや距離を考えることで、より美しい写真を撮影できます。
花一輪だけを撮る
大輪のバラなどを単体で撮影する際は、花の特徴や美しさを引き立たせるポイントを考える必要があります。
普通のアングルから撮影すると、花の魅力がうまく伝わらない場合があります。、他の花と比べてバラの撮影は難しいと言われる理由の1つです。
1輪の花を撮る場合、真正面からではなく斜めや横から撮影すると、立体感が生まれ、花これがの美しさが際立ちます。特に、花の特殊な形状や色合いを強調するために、アングルを工夫することが重要です。そのような撮影方法を試して、バラの美しさを最大限に引き出しましょう。
色や形を考える
バラの花は完全に開くと豪華に見えますが、その段階では外側の花弁が傷んでいることが多いです。撮影する際には、開花直前のツボミから開きかけの時期が理想的です。この時期は花弁の痛みが少なく、花の形も整っています。
花芯が見えなくても、花びらだけで美しさを表現できるバラは、撮影時に花の全体像を重視することが重要です。開花直前の状態を捉えることで、バラの美しさを最大限に引き出しましょう。
オブジェクトやモニュメントを利用
バラ園では、オブジェクトやモニュメントが撮影スポットに設置されていることがよくあります。花だけでは単調になりがちなので、撮影に変化を加えるためには、これらのオブジェクトやモニュメントを取り入れるのがオススメです。花と組み合わせることで、より面白く魅力的な写真を撮影できます。
つるバラを探す
つるバラは、その絡みやすい性質から、バラ園のゲート部分などによく使われています。この性質を生かして、バラがゲートの型どおりに絡んでいる様子を撮影すると面白い写真ができます。つるバラの特徴を上手に生かして、バラ園の雰囲気を楽しむ撮影をお勧めします。
花以外を主役に
おもしろい形の葉を入れて撮った一枚ですが、この場合は葉にピントを合わせています、主題を二つにすると見る方の興味は半分になってしまいます。
雨上がりがチャンス
雨が上がってすぐは撮影のチャンスです、水滴が数多くついた状態で撮れます、風が吹いたり日差しが強いとすぐに水滴が無くなりますのでお早めに。
スマホのカメラ設定と機能活用
ここからはスマホの機能を使った撮影法です。
HDRモードの使い方
HDR(ハイダイナミックレンジ)は、明るさの違う複数の写真を合成することで、逆光時などに白飛びや黒つぶれを軽減するモードです。つまり、複数の露出を変えた写真から、人が見て良いと感じる部分を選んで合成することで、写真全体のダイナミックレンジを広げる効果があります。
逆光で花が暗くなってしまう場合や、葉や花が光を反射して光ってしまう場合などに使用すると効果的です。ただし鮮やかな色の花などは発色が少しだけ抑えられたりするので通常と撮り比べて良い方を選びましょう。
露出補正による色の違い
露出補正を調整すると、花の色合いや雰囲気が大きく変わります。適切な露出補正の設定によって、写真の表現が異なります。オーバーな明るさやアンダーな暗さなど、さまざまな表現が可能です。表現したいものによって適正な露出も変わってきます。
ポートレートモードの活用
iPhoneのポートレートモードやAndroidの背景ぼかし機能を利用すると、花を美しく引き立てた写真を撮影できます。しかし、一眼カメラのボケに比べると、それほど自然な効果が得られないことがあります。
クリアファイルにパンチなどで穴をあけて穴の周りにリップクリームなどを塗って撮影すると背景が大きくボケて見えます。
またリップクリームの濃さを変えるとソフトフォーカスレンズのような柔らかな表現もできます。
スマホ写真の編集と加工
あまりさえない写真も撮影後のレタッチや編集で見違えるほど変化する場合もあります。
以下スマホでできるレタッチアプリ5選、それぞれの特徴や用途を紹介します。
アプリ | エフェクト 機能 | 対応OS | 価格 |
PhotoDirector | PCソフト並みの高機能な編集。 自然な補正から大胆な加工まで幅広いエフェクト。 レイヤー、マスク、ブラシなど高度な編集機能。 | iOS、Android | 無料版、課金版あり |
Pixlr | 多くのエフェクトで写真加工。 アーティスティックなエフェクトが豊富。 コラージュ、文字入れ、フレームなど豊富な機能。 | iOS、Android | 無料、アプリ内課金あり |
Snapseed | 手軽で多機能な写真加工。 明るさ、コントラスト、彩度など基本的な編集機能。 ぼかし、フレーム、文字入れなど便利な機能。 | iOS、Android | 無料 |
Camera360 | 人物が入った写真の加工。 美肌、目元強調、小顔などオート美顔機能が充実。 コラージュ、フィルター、フレームなど豊富な機能 | iOS、Android | 無料、アプリ内課金あり |
Focos | ボケのコントロールが可能。 被写体と背景をぼかすポートレートモード。 レンズ効果、美肌、フィルターなど豊富な機能。 | iOS | 無料版、課金版あり。 |
それぞれのアプリの詳細はApple storeとGoogle Playを参照。
PC版のPhotoDirectorやPixlrの使い方は↓
Snapseedの使い方は↓
東海地方でオススメのバラ園
東海地方には、美しいバラ園が数多くあります。以下、3つのバラ園について詳しく紹介します。
庄内緑地 バラ園
HP https://shonai-ryokuchi.jp/facility/facility18.html
- 住所:〒452-0818 愛知県名古屋市西区山田町大字上小田井3527
- 開園時間:公園内自由
- 休園日:不明
- 駐車場:あり
- 料金:有料(643台)※ 詳細は公式サイトをご確認ください。
・普通自動車 200円~
・自動二輪・原付 100円~
・大型自動車(マイクロバス程度のみ) 600円~ - 特徴:名古屋市内にあるバラ園で、80種約2,100株のバラが楽しめます。春と秋にバラまつりが開催されます。春のバラ祭り 2024年5月11日~6月9日
鶴舞公園バラ園
HP https://www.aichi-now.jp/spots/detail/3886/
- 住所:〒466-0064 愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目1
- 開園時間:24時間営業
- 休園日:なし
- 駐車場:あり
- 料金:有料 https://tsurumapark.info/access/#parking
- 特徴:名古屋市中心部にあるバラ園で、140品種、1400株のバラが楽しめます。夜間ライトアップも行われています。
春秋のバラ祭り有り 2024年4月27日(土)~6月9日(日)(春)
ぎふワールド・ローズガーデン
- 住所:〒509-0213 岐阜県可児市瀬田1584−1
- 開園時間:9時~17時
- 休園日:火曜日 ローズフェスティバル期間は無休
- 駐車場:無料
- 料金:無料~1,050円 春のローズフェスティバル期間 大人1050円、開花状況により料金が変動します。
- 特徴:6,000品種、20,000株のバラが楽しめる、日本最大級のバラ園です。春と秋にバラまつりが開催されます。
2024年5月10日~6月9日 春のローズフェスティバル
バラの花の種類と特徴
バラは現在、約4万種類が確認されており、大きく原種、オールドローズ、モダンローズの3つに分けられます。非常に種類が多く、精通していないとオールドローズとモダンローズの違いは見分けがつきにくいです。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
一季咲きと四季咲きの違い
- 一季咲き
一季咲きのバラは年に一度、春にだけ花を咲かせます。短期間に集中して咲くため、その時期は非常に華やかです。 - 四季咲き
四季咲きのバラは春から秋にかけて繰り返し花を咲かせます。真夏と真冬は咲きません。
原種のバラ
原種のバラは、自然界に自生しているバラの種類です。日本にも自生している原種が数種類あります。病害虫に強く、野生的な美しさを持つ種類が多いです。
- ノイバラ
日本の山野に自生する小型のバラで、白い花が特徴です。 - ハマナス
海岸沿いに自生するバラで、ピンクや赤の大きな花を咲かせます。香りが強く、実も美しいです。
オールドローズとその魅力
オールドローズは、1867年にフランスの育種家ギヨーによって作出されたハイブリッドティーローズ「ラ・フランス」が誕生する以前の品種の総称です。深い芳香と一季咲きが特徴です。
代表的なオールドローズ
- ガリカローズ
16世紀頃にフランスで生まれたバラ。赤、ピンク、白など多彩な色と強い芳香が特徴で、耐寒性が強く、初心者にも育てやすいです。 - センティフォリアローズ
17世紀頃にフランスで生まれた大輪のバラ。ピンク、白、赤などがあり、花弁が多く豪華です。強健で育てやすいです。 - ダマスクローズ
10世紀頃に中東で生まれたバラ。強い芳香があり、ローズウォーターやジャムの原料としても有名です。 - モスローズ
18世紀頃にフランスで生まれたバラ。茎にコケのような毛が生えているのが特徴です。 - アルバローズ
古代ローマ時代に生まれたバラ。花色は白のみで、強い芳香があります。耐寒性が強く、初心者でも育てやすいです。
オールドローズの撮影ポイント
オールドローズは多くがつる性で、アーチやフェンスに絡んで咲きます。カップ咲きの質感を引き立てるように撮影しましょう。香りの強いバラの雰囲気を捉えるため、朝や夕方の柔らかい光を利用すると良いです。
モダンローズとその美しさ
モダンローズは、1867年にフランスで作出された「ラ・フランス」という品種以降に育成されたバラを指します。四季咲きの品種が多く、春から秋にかけて繰り返し花を咲かせます。
モダンローズの撮影ポイント
四季咲きのモダンローズは、春から秋にかけて繰り返し咲きます。開花時期に合わせて訪れることで、最も美しい姿を捉えることができます。特に朝の光や夕方の柔らかい光が、花の色をより鮮やかに映し出します。
モダンローズは種類が多いため、あれこれ欲張らずに好きな花に焦点を当てて撮影するのが効果的です。
ハイブリッドティーローズの大輪をアップで撮る、フロリバンダローズの房咲きを引き立てるなど、個々の特徴を生かした撮影を心がけましょう。以下に大きさや樹形で分類しています。
大きさや樹形での分類
種類 | 大きさ | 樹形 | 代表品種 | 特徴 |
大輪(ハイブリッドティーローズ) | 10cm~ | 木立性(ブッシュ) | ラ・フランス、レオナルドダヴィンチ、ブルームーン | 花色は白、ピンク、赤、黄色など多彩です。切り花として人気が高いです。 |
中輪(フロリバンダローズ) | 5~8cm | 木立性(ブッシュ) | エーデルワイス、アイスバーグ | 白、ピンク、赤、黄色などがあり、花壇や鉢植えに適しています。 |
ミニバラ | 3~5cm | 立性(ブッシュ) | グリーンアイス、スイートメモリー | コンパクトな株で庭に最適です。環境次第で春から秋まで咲き続けます。 |
つるバラ | 小輪~大輪でさまざま | つる性 | レイニーブルー、バレリーナ | つると言っても自然に絡みつくことはなく伸びた枝をフェンスなどに誘引して作る。 |
まとめ
スマホでのバラの撮影について、種類や撮影テクニック、編集アプリ、名所を紹介してきました。バラは一年中咲いているように見えますが、猛暑期と厳冬期にはその美しい花を見ることは難しくなります。しかし、バラは庭先や公園でも手軽に撮影できる身近な花です。今回の記事を参考にして、ぜひスマホで映えるバラの写真に挑戦してみてください。少しの工夫で、あなたの撮ったバラの写真がSNSでもひときわ目を引く作品になります。美しいバラの魅力をスマホで捉え、その素晴らしさを多くの人と共有しましょう。