真夏の青空と太陽に映えるヒマワリを想像して、ひまわり畑に出かけましが、なんと
実際に行ってみると、花はまばらで空も灰色の雲に覆われて今にも降り出しそう。
せっかく来たのに、どうしよう。
こんな経験はありませんか? 天気は予報である程度確認できますが現地へ行くと変わることもあります。また、花の状態も実際に行ってみないと分かりません。
そんな時に、写真をどうやって撮ればいいのか迷いますね。この記事ではその場でできる対処法や、後から編集する方法を紹介します。せっかくのヒマワリ写真を生かすコツをお伝えします。
ヒマワリの特性
他の花にないヒマワリの特性について解説します。
ヒマワリは成長すると3m以上になることもある大きな植物です。花弁は一見大きな1つの花のように見えますが、実際は「頭状花序」と呼ばれる構造で、多数の小さな花が集まって1つの花の形を作っています。これはキク科の植物に共通する特徴です。外側の黄色い花びらは「舌状花」、内側の花びらがない部分は「筒状花」と呼ばれます。
ヒマワリはつぼみの時期から咲き始めの頃までは太陽を追うように向きを変えますが、開花後は東を向いたままで動きません。ひまわり畑でほとんどの花が同じ向きなのはこのためです。ヒマワリの品種は約60種あり、現在も品種改良が進められています。開花期は通常7〜9月ですが、品種や地域によっては10月や11月に咲くものもあります。これにより、ヒマワリの美しさを長く楽しむことができます。
ヒマワリの種類
草丈や花付きなどで様々な品種があります。
- 草丈
ミニ(25cm以下)、コンパクト(30~60cm)、高性(120~170cm)、巨大(200cm以上) - 咲き方
一重、半八重、八重 - 花付き
一本立ち、分岐
主な品種と特徴
品種 | 草丈 | 特徴 |
ロシア | 200cm | 大型種で、花の直径20cm以上 |
モネのヒマワリ | 150cm~180cm | イエローの花弁、芯がグリーン、分岐でたくさんの花 |
ゴッホのヒマワリ | 120cm~180cm | 花びらが八重と半八重が混じる、中心部分は茶系 |
ミスサンシャイン | 25cm~40cm | 小型で鉢植えにも利用が可能、一輪の花 |
サンリッチ | 150cm~170cm | 真っすぐに上を向いた花、フルーツにちなんだ名前が多い |
スマイルラッシュ | 30cm~40cm | 分岐してたくさんの花 |
サンビリーバブル | 60cm~70cm | 一シーズンに千輪以上の花 |
小夏 | 25cm | 短期間で次々と |
グッドスマイル | 12cm~45cm | 小型で小さな栽培ポットでも可能 |
プロカットホワイトムーン | 140cm | 咲きはじめはクリーム色、咲き進むと白くなる |
プロカットレッド | 140cm | 濃い赤紫色の花弁 |
ビンセント | 160cm | 上向きに咲くように作られている |
テディーベア | 80cm | 八重咲で小型 |
マンチキン | 70cm | 鮮やかな黄色の花弁 |
グッド・スマイル | 40cm | 中心が黒褐色で濃黄色の花弁 |
撮影トラブルの例
よくあるトラブルや失敗の例をあげてみます、それぞれのリンクで詳しく対処法を解説していますので参照にしてください。
- ピントがボケている
どの花を撮りたいのか確認してからピントを合わせましょう。手ブレにも注意。 - 急に曇って来て青空が無くなった
その場の天気は変えられませんが、後で対処できますのでそのまま撮影してきましょう。 - 構図が悪い
構図は大切ですが、意識しすぎると伝えたいものが伝わらない場合があります、主題を明確にすることで、構図もある程度決まってきます。 - 逆光で顔や花が暗くなる
条件によって変わってきますが、逆光以外でも顔が暗く写る場合があります。 - 人や物が写り込んでいる
最盛期は混雑して人も多くなり写真に写り込む場合があります。 - ひまわりが枯れている、花が少ない
花期は2~3カ月と長いのですが、どの程度の開き具合なのか分からない場合が多く有名な場所ならば、SNSなどを参照にしてみるのも良いでしょう。
特性を生かした撮影とトラブルの対処法
オススメの撮影法やトラブルの対処法を紹介します。
集団を撮るか一つの花を撮るか
ヒマワリの広大な畑を背景に広がる花々を撮ると、圧倒的なスケール感を表現できます。一方、一つの花にフォーカスを当てると、その細かなディテールや美しさを強調できます。
スマホなどでパンフォーカスで撮影できると気になりませんが、望遠レンズを使った場合特に主題にピントを合わせましょう主題以外にピントが合うと写真を見た時に最初にそちらに視線が行ってしまいます。多くの花の中でどれを見てもらいたいのか考えて撮りましょう。
花期が合わずに花がまばらな場合は、望遠レンズで花が重なっている部分を切り取りましょう。広角で全体を撮ろうとすると、手前の花の隙間が目立って混み合って咲いている雰囲気がでません。
青空や太陽を入れる
青空を背景にしたヒマワリの写真は明るく爽やかな印象を与えます。撮影時は太陽の位置を考慮し、逆光やサイドライトを活用するとヒマワリの輪郭が美しく映えます。逆光では花びらが透けて柔らかい印象に、サイドライトでは立体感が強調されダイナミックな写真が撮れます。
昼間は太陽が高く、入れて撮るには花の下から撮影する必要がありますが、強い太陽光によるレンズフレアや露出に注意が必要です。レンズフードを使い、露出補正で対応しましょう。
撮影が楽になるのは朝夕の時間帯です。この時間には太陽の位置が低く、柔らかい光がヒマワリを包み込み、写真に深みを加えます。
子供や女性を入れたポートレート
ヒマワリ畑はポートレート撮影に最適です。背の高いヒマワリの間に立つ子供や女性を撮影すると、自然な雰囲気で被写体の魅力が引き立ちます。子供の場合は動きが多いため、シャッターチャンスを逃さないように速いシャッタースピードで連写することが重要です。
人物を主題にした場合は、ヒマワリを背景にしてボカすと引き立ちます。ただし、ヒマワリの明るさによって人物の顔が暗く写ることがあります。この場合、花を明るめに撮影し、人物の顔の露出を調整するためにプラスの補正や顔を中心とした露出測光を行います。また、レフ板やストロボを使用して光の調整をすると効果的です。
HDR(ハイダイナミックレンジ)を使った撮影も有効です、ただし連写したものを合成するので三脚などを使用してブレに注意しましょう。写真はコンデジのHDR風モードで撮りました。
朝日や夕日を入れた逆光
朝日や夕日を背にした逆光撮影では、ヒマワリがシルエットになったり輝いたりして、美しいグラデーションが生まれます。この時間帯の柔らかな光を利用して、幻想的な写真を撮ることができます。
ヒマワリは通常、東を向いているので、夕方には正面から、朝方には後ろ姿を捉えることができます。
ヒマワリの輪郭をはっきりと撮るためには、露出の調整が大切です。シルエットを美しく見せるために、被写体と背景の明暗差を意識して撮影しましょう。カメラの位置や角度を調整して、光が直接レンズに入らないようにすることも重要です。これにより、レンズフレアや過度な露出を防ぐことができます。
大きな花の一部を切り取る
ヒマワリの大きな花弁や中心部をクローズアップすると、抽象的でアートな写真が撮れます。花が大きいため、全体を収めようとすると不自然になることがありますので、一部を切り取ることで面白い写真を作ることができます。特に、花の4分の1程度を切り取るとバランスが良くなります。
クローズアップ撮影では、ピントのズレやブレも出やすくなりますので、三脚を使用したり手持ちではシャッタースピードに注意が必要です。
寄ってくる虫も被写体に
ヒマワリには多くの虫が集まります。蜜を求めて訪れる蜂やチョウを一緒に撮影すると、自然の生態系を感じられる写真が生まれます。特にハチは花から離れずに長い時間留まるため、じっくりと撮影するチャンスです。
虫は動きが速いため、高速シャッタースピードを設定して瞬間を捉えます。また、マクロ撮影用のレンズや接写レンズを使い、細部まで鮮明に写すことが大切です。虫がいる花の周囲には余計な物が置かれていないことを確認し、それが背景として映り込まないように注意しましょう。
ひまわり畑での撮影
広大なヒマワリ畑全体を撮影すると、壮大な景色が写し出されます。遠近法を利用して、奥行き感を強調するのも良いでしょう。単体で植えている場所と違ってわりと規則正しく植えてある場所が多いので、直線の並びなどを撮影したり、山や建物などを入れてアクセントをつけるのも良いでしょう。
構図は青空が印象的な場合は、空を多めに入れて低めから見上げたり太陽を入れての撮影も良いでしょう。群生している場所では遠近感を意識して花の重なりを表現します。
混雑した時期や名所では写真に人が写り込むことがあります。望遠レンズなどで人が入らないように切り取ったり、後からレタッチで人を削除もできます。また、混み合った状況では人物を意図的に取り入れて撮影するのも一つの手段ですが、個人情報にはくれぐれも注意しましょう。
花期を考えた撮影
ヒマワリの花期は通常7月から9月ですが、種を植える時期によって異なります。一部の名所では、花の見頃を2~3カ月間続けるために種まき時期を調整しています。また、近年では温暖化の影響もあり、11月まで花を楽しめる場所もあります。
現地で花が少ない場合などは、望遠レンズなどを使用して花が集まっているところを切り取る、マクロレンズで一輪だけアップを撮影するなどの対処があります。
マクロレンズで寄って撮影している場合、花弁と花芯では、ピントの位置が違ってくるので、どちらか表現したい場所に寄せて撮らないとどっちつかずの半端な画像になってしまいます。
花が傷んでいる場合はレタッチで救済可能な場合があります、まずはそのまま撮ってきましょう。
ヒマワリの見頃情報は事前に公式ウェブサイトやSNSで確認することをお勧めします。見頃の時期に合わせて訪れることで、最も美しい状態で花を撮影できます。
撮影場所によっては混雑する可能性があるため、早めの時間帯や平日の訪問を考慮すると良いでしょう。また、天候や光の条件によっても撮影結果が変わるため、撮影計画を立てて臨むことが大切です。
撮影後のレタッチ
撮影後の編集やレタッチで写真の出来も違ってきます。
背景を置き換えて青空に
撮影後に青空が曇っていた場合、写真編集ソフトやアプリを使って背景を置き換えることができます。
作例を紹介します。
冒頭のヒマワリの写真ですが、背景が曇り空なので少しだけでも青空がほしいところ。
背景画像に青空と入道雲のアクセントをつけた写真を使用。
背景を入れ変えて、遠近感が出るように背景の雲をボカして完了です。真夏のヒマワリのイメージができました。
色調補正で鮮やかさを強調
撮影後の色調補正では、明るさ、コントラスト、彩度を微調整してヒマワリの色合いをより鮮明にします。特に黄色と緑のバランスを保ちながら、花や葉のディテールを損なわないように注意します。原色が多いため、色飽和になりやすい点にも留意し、細部までクリアに写るように調整します。また、背景の色味や明るさも調整し、ヒマワリを引き立てるようにします。
レタッチにおいては、撮影時の自然な色合いを損なわないようにするため、過度な編集は避けます。カラーバランスやトーンカーブを使用して、写真全体の調和を保ちながら目的の色調を表現します。最終的には、自然でありながらも魅力的なヒマワリの色合いを強調することが目標です。
不要な要素を除去
不要な要素やゴミを取り除く際には、写真編集アプリを利用して細部まで丁寧に修正します。また、花が少し傷んでいる場合でも、アプリのツールを使用して修復し、見栄えの良い写真に仕上げます。
写真を撮影後、デジタル編集を行う際には、自然な仕上がりを心がけることが重要です。過度な修正は写真の質感やリアリティを損なう恐れがあるため、細かい部分の修正に留めておくと良いでしょう。
シャープネスを調整
ヒマワリの花びらや中心部のディテールを際立たせるために、シャープネスを適度に調整すると細部がくっきりと見えます。
ただし、シャープネスを過度に強調すると、画像に不自然なエッジが生じることがあります。自然な見え方を保つために、シャープネスの調整は微妙なバランスが求められます。ディテールを引き出しつつ、花の自然な質感を損なわないように注意します。
トリミングで構図を整える
撮影時、特にスマートフォンや一眼カメラの広角レンズを使用した場合、余分なものが写り込むことがあります。そのため、後でトリミングすることで、主題をよりクリアに映し出すことができます。例えば、花の周囲に不要な物体や不自然に入り込んだ要素をカットすることで、写真全体の視覚的な混雑感を軽減し、主題の際立たせます。
また、トリミングは慎重に行います。主題の魅力や撮影時の意図が損なわれないように、必要な範囲を選択し、バランスの良い構図を目指します。
フィルター効果を利用
さまざまなフィルター(モノクロ、セピアなど)を試して、写真に新しい雰囲気を与えます。特定のスタイルに合わせて写真を変化させることで、意外な発見や感動が生まれることもあります。現在の写真編集アプリでは、無料で利用できるフィルターが豊富で、リアルタイムでプレビューしながら編集することが可能です。
見た目と違うものができることが多く、主題の特性を生かしたものに仕上げましょう。
部分調整でアクセントを加える
花の中心部や背景の青空を強調するために、部分的に明るさや彩度を調整します。黄色の花弁と花芯では露出も変わるのでバランスを取るために、レイヤーマスクなどを活用して、明るさを調整します。これにより、花の全体的なバランスが取れ、自然な見え方を保ちながらも、特定の部分が引き立つようにします。
パノラマ合成で広がりを表現
広大なヒマワリ畑を撮影する際に複数枚の写真を合成してパノラマ写真を作成し、広がりとスケール感を表現します。
Xperiaの場合、カメラアプリ起動後、モード→パノラマを選択後シャッターボタンを押し、カメラをゆっくりと左から振ります。
Google Pixel はGoogle カメラアプリの「360°写真」モードで撮影。
iPhoneはカメラアプリを起動してスワイプすると「パノラマ」が選択できます。
使用法はそれぞれで異なりますので、マニュアルを参照してください。
上記の機能は、すべて「PhotoDirector」で使用可能です。AIを利用したツールも多くスマホで編集も可能です。
東海のひまわり畑
東海地方の代表的なひまわり畑を紹介します。
愛知牧場
時期をずらして植えたヒマワリが10カ所、シーズン中はどこかが見ごろになっています。
- 住所 電話
愛知県日進市米野木町南山977 0561-72-1300 - 見ごろ
7月上旬〜9月 - ヒマワリの本数
約4万本 - 入場料金
3歳以上100円 - 駐車場
500台(月・土日祝と繁忙期は1日500円)
南知多観光農園花ひろば
入園料にひまわり1~3本の摘み取り料が含まれる、植える時期をずらして11月まで見られる。
- 住所 電話
愛知県知多郡南知多町豊丘高見台48 0569-65-2432 - 見ごろ
6月中旬~11月 - ヒマワリの本数
約250万本 - 入場料金
中学生以上800円、小学生400円 - 駐車場
80台
まとめ
ヒマワリの花の撮影について、失敗と対処法などを紹介しました。また、撮影後の編集やレタッチで、思い描いた写真に近づける方法も記述しました。
真夏の花という印象が強いヒマワリですが、最近では11月下旬まで見られるところもあります。猛暑の時期を避けて涼しい季節に訪れるのも良いアイデアです。
ひまわり畑には、子供連れで楽しめる迷路や摘み取って花を持ち帰れる場所もあります。夏休みの計画にぜひ加えて、この記事を参考にしてみてください。きっとすてきな写真が撮れるはずです。